皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
今年の夏も暑くなりそうです。
マスクをしてこの猛暑を乗り越えなければならないため熱中症には特に気をつけなければなりません。
熱中症対策にはこまめな水分補給をすることが大切です。
みなさんは水分補給に何を飲みますか?
熱中症対策にはスポーツドリンク、という方も多いと思います。
今回はスポーツドリンクについてです。
スポーツドリンクとは?
スポーツドリンクは「イオン飲料」の一種に分類されます。
イオン飲料とは、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなど、いわゆる「電解質」が入っている飲み物のことです。
電解質とは、水に溶けた時イオン化して電気を通す性質がある物質のことです。
人間の体液には、水分のほかに電解質が含まれています。
細胞内を流れる体液が正常に働くには一定量の電解質が必要です。
ですので、汗を多量にかいたりして電解質が失われた場合は、電解質を補わないといけません。
そこで適した飲み物が「イオン飲料」です。
イオン飲料は成分や用途によって、スポーツドリンク、経口補水液、乳幼児用イオン飲料に分類されます。
スポーツドリンクの主な成分とその役割
スポーツドリンクには以下の成分が含まれます。
①水→水分補給
②電解質→電解質の補給
③酸→味の調整・保存性の向上
④糖→エネルギーの補給
水分補給には当然、水がその役割を果たします。
また、電解質が入っていると水分の吸収効率が良くなります。
電解質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムといった形で含まれています。
エネルギー補給を担うのが、砂糖や果糖ブドウ糖液糖です。
激しい運動で失ったエネルギーを速やかに補給してくれます。
糖類の甘味を抑えて味を調整したり、酸性度を高めることで飲み物の保存性を高めるために、酸化防止剤や果汁、クエン酸、酸味料、アミノ酸などが入っています。クエン酸やアミノ酸は疲労回復にも役立ちます。
スポーツドリンクの問題点は?
スポーツドリンクに含まれる成分のうち、頻繁に飲んでいると問題になってくるのが糖と酸です。
スポーツドリンクにはおよそ30gの砂糖が入っています。
実に角砂糖8個分です。当然、虫歯の原因にもなります。
ところで栄養成分表示の見方をご存知でしょうか。
パッケージにある栄養成分表示の「炭水化物」のグラム数を見てください。それがほぼ砂糖の量です。(100ml当たりの表示なので、500mlのペットボトルなら5倍です)
炭水化物の数値は「糖質と食物繊維の合計」なのですが、飲み物には食物繊維はほとんど入っていないので、「炭水化物の量=糖の量」となります。
ちなみに、世界保健機構(WHO)が推奨する1日の砂糖摂取量は25gです。
そして酸についてですが、スポーツドリンクの酸性度は非常に高いです。
phでいうと3.5あたり(phが低いほど酸性度は高くなる)で、歯のエナメル質が溶け始めるphである5.5を下回っています。つまり、歯が溶ける危険性が大いにあると言うことです。
スポーツドリンクとの賢い付き合い方
①あくまで「スポーツ時の飲み物」として
運動などで激しく汗をかいて、体から流れ出た電解質の補給したり、速やかに水分やエネルギーを補給したい場合にのみましょう。
②日常生活では不要
・ちょっと汗をかいた、ちょっと喉が渇いたという時は、水やお茶で十分です。
・お風呂の前や後、寝る前の水分補給も水やお茶で十分です。
③頻繁に飲まないといけないなら、歯の健康に注意を
・歯科医院で定期的に検診を受けましょう。
・歯磨き剤のフッ素で歯の質を強化しておきましょう。
・フロスで歯と歯の間を掃除しましょう。
④飲んだ後はを口をすすぐ
・虫歯や酸蝕を予防するために、飲んだ後は水かお茶でお口をすすいで酸を薄めましょう。
熱中症対策の飲み物は時と場合を考えて、上手に摂取してください。
おすすめは麦茶です。麦茶はカフェインレスでありながら、ナトリウムやカリウムなどの電解質も含んでいますよ。