皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。
「歯がしみるので虫歯ができてると思います。」という訴えで来院される方が毎月何人かいます。
実際診査してみると虫歯は見つかりません。
実は「歯がしみる」という症状は虫歯以外にも原因があります。
CMなどで「知覚過敏」というワードを聞いたことがある方もいると思いますが、歯がしみる原因としてはむしろ虫歯より知覚過敏の方が多いのです。
今回は知覚過敏についてご説明します。
知覚過敏とは
「しみる」という症状が知覚過敏ですが、なぜしみる症状が出るのでしょうか。
この症状は、主に歯の表面を硬くおおっているエナメル質を失うことで起こります。
エナメル質が失われると象牙質がむき出しになります。
象牙質にはポツポツとパイプ状の穴が開いているので、ここから神経の方へと刺激が伝わってしまうのです。
冷たい、熱い、甘いなどの刺激が神経に伝わり「キーン」というしみる症状が起こります。
よって、エナメル質が失われ、象牙質がむき出しになった歯はしみやすいのです。
例えば歯ぎしりにより歯が削れていたり、強い歯磨きによる摩耗、酸っぱい飲食物や胃酸により歯が溶けている部分や、その他歯周病で歯ぐきが痩せてむき出しになった根っこや、古い詰め物の周りの欠け、ヒビなどがある歯などは特にリスクがあります。
知覚過敏のリスクチェック
知らずに続けている生活習慣や癖がエナメル質を削り知覚過敏症状が出ているかもしれません。
思い当たる項目をチェックしてみてください。
①歯ぎしり・食いしばりはしていませんか?
②強い歯磨きをしていませんか?
③酸っぱいものを取りすぎていませんか?
④お口の中が乾燥していませんか?
⑤ヤニとり用の歯磨き粉を使っていませんか?
⑥歯磨き不足ではありませんか?
⑦運動中いつもスポーツ飲料やビタミン飲料ばかりを飲んでいませんか?
⑧熱中症予防にいつもイオン飲料ばかりを飲んでいませんか?
知覚過敏の治療
歯科医院を受診すればすぐに原因が分かり、しみる症状も治療して改善するだろうと期待している方もいるかと思います。
しかし実は診断を下すのも、治療して症状を治すのも案外難しいのです。
知覚過敏の治療は段階的に進めます。
STEP①
・診査、診断
・知覚過敏の説明
・生活習慣指導
STEP②
・症状を抑える薬剤を塗布する。
STEP③
・レジンで歯の表面を覆う。
・マウスガードで歯ぎしりの影響を和らげる。
STEP④
・噛み合わせの調整。
・詰め物の詰めなおし。
STEP⑤
・歯の神経をとる。
まず、STEP①・②を行い、軽度の方は症状が落ち着きます。
中等度~重度の方は段階的にSTEP③・④に進んでいきます。
最終的に、我慢できないような症状が続く重度の方は、STEP⑤の神経を取ることも検討しますが、
神経をとることは将来的なリスクが伴う為、慎重な判断が必要となります。
当院では患者さんに説明を行い、十分にご納得いただいた上での最終的な処置となります。
知覚過敏の歯のお手入れ
知覚過敏の症状のある患者さんの場合、歯磨きがつらいという方は多いと思います。
しかしだからといって歯磨きをしない、というわけにはいきません。
歯についた歯垢(バイオフィルム、プラーク)を取り除かないと、その中にすむ虫歯菌が酸を出し、歯をおおって刺激をブロックしてくれる大切な再石灰化層を溶かして、知覚過敏の症状を助長させてしまうのです。
具体的な対策として、歯ブラシを一時的にソフトタイプのものに変えたり、歯磨き剤を知覚過敏用に変えてみることをオススメします。
どうしても歯ブラシが当てられない場合は、その部分のみ歯間ブラシやフロスだけでも続ける、またそれでもつらい場合はガーゼで拭くなどの策を講じてみてください。
正しい歯磨きを身に着けることで、改善されることも多いです。
当院では歯科衛生士による歯磨き指導を行っておりますので、お気軽にご相談ください。