埼玉県久喜市青毛の歯医者 | ハートデンタルクリニック |

コラム

歯周病が治る?≪歯周組織再生療法≫


皆さん、こんにちは。
久喜市の歯医者「ハートデンタルクリニック」院長の定岡です。

歯を失う原因の第一位は歯周病ですが、そんな手強い歯周病を治せるかもしれない治療法が「歯周組織再生療法」。
今回は最近注目されている再生療法についてです。

 

歯周病ってどんな病気?

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる病気で、歯の周りの歯ぐきや、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯周病の原因である細菌の感染の正体は「プラーク」と呼ばれる細菌の集合体です。
歯に付着したプラークは「歯周ポケット」と呼ばれる「歯と歯ぐきの境目の溝」に入っていきます。
そしてプラークからは歯周病菌が出てきて、毒素をつくり歯を支える組織を破壊しながら、歯周ポケット内の歯ぐき内部にくっつき、体内に侵入していきます。
歯周病菌が体内に侵入してくると、感染から身を守るために「免疫反応」が起こり、歯ぐきが腫れたり出血したりします。
人間の体は、細菌の感染から体を守るのを優先します。
そのため、歯周病菌が体の奥深くに入って感染を起こさせないよう、体が骨を溶かす物質やコラーゲン分解酵素を出して、自らの組織を破壊していきます。
その結果、歯を支えている骨が溶けてなくなっていき、歯周ポケットが深くなります。
このようにして歯周病は歯周ポケットが深化していきどんどん進行していきます。

 

歯周組織再生療法って?

歯周ポケットが深くなり、歯を支えている骨が溶けてしまった部分を再生させるのが歯周組織再生療法なのですが、実はそれだけではないのです。
歯と歯を支えている骨の間には「歯根膜」と呼ばれる組織があって、これが歯の根の表面にある「セメント質」の助けを借りて、歯と骨を結びつけています。
歯根膜のなかには血管や神経が入り込んでいるので、歯や骨への栄養の通り道になるほか、侵入してきた細菌への免疫反応を起こします。
また歯根膜は、噛むときの力をクッションのように受け止めて分散させたり、神経や筋肉の反射によって歯を守ったり、咀嚼を助けるなどの働きもあります。
ですから、歯の寿命には歯根膜の存在が重要です。
歯周組織再生療法は、骨だけでなく、歯根膜とセメント質の再生も目的としているのです。

 

歯周組織再生療法の治療方法

歯周組織再生療法には主に以下の方法があります。
❶ジェル状の再生材料を用いる方法
❷お口の中の他の部位から採取した骨を移植する方法
❸人工の骨補填材を用いる方法
❹特殊な薄い膜状の材料を用いる方法
❺上記のいくつかを組み合わせる方法
ここでは、当院でよく行う❶について説明します。

〈治療手順〉
⒈歯周基本治療
患者さんの歯磨きの改善や、歯周ポケット内のプラークや歯石を可能な限り取り除いておきます。
ある程度炎症が治まって、歯ぐきの腫れがひいていることが、次の手術に進む指標になります。

⒉手術(歯周組織再生療法)
歯ぐきを切開してめくり、歯の根を露出させます。
前述の歯周基本治療だけでは除去しきれなかったプラークや歯石を徹底的に取り除きます。
その後再生材料が付着しやすいように歯の根の表面を処理してからジェル状の再生材料を塗布します。
そして、切開したところを縫い合わせて手術を終えます。

⒊消毒・抜糸
手術して数日後に消毒に来てもらい、約2週間後に抜糸をします。

⒋再評価
組織が再生したか確認するのは8〜9ヶ月後です。
歯周病の検査の時やる「*歯周ポケット測定」と、レントゲン撮影をして評価します。
その間は定期健診でフォローしていきます。

*歯周ポケット測定:細長い棒状の器具を歯と歯ぐきの間に差し込み、歯ぐきがしっかり歯についているかを確認する検査のこと。

④歯周組織再生療法が向いているケース
歯周組織再生療法はどんな骨の欠損にも対応できるわけではありません。
再生療法に一番向いているのは、根が1本の歯(前歯や犬歯など)で、根をぐるりと囲むように支える骨が失われているケースです。
この形だと、血餅(血の塊)が保持されやすいので再生しやすいのです。

⑤手術のあとの注意事項は?
・タバコ
タバコは治療前・後に限らず禁煙してもらいたいです。
タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、歯の周りの組織への酸素や栄養の供給を妨げます。
また免疫の働きを狂わせたり、傷の治りも悪くさせるので、タバコを吸い続ける方は再生療法はできません。
歯周病の治療の効果も落ちるため、タバコを吸われている方は前もって禁煙が必要です。
加熱式タバコも同様です。

・噛むこと
再生療法を行ったところは、しばらく安静にしておかなければなりません。
周囲の歯と固定したとしても、強い力が加わると再生中の組織が壊れてしまうことがあります。
抜糸が終わって歯ぐきが治るまでは、食事の時はできるだけそこでかまないようにしてください。

・歯磨き
抜糸までは、治療した歯やその周りに歯ブラシを当ててはいけません。
治療したところは殺菌作用のある洗口液でうがいをしましょう。
お口をすすぐときに勢いよくブクブクうがいをするのも避けて下さい。

 

再生したあと、長くもたせるには?

長くもたせるには「定期健診」が重要です。
治療の結果が明らかになるまでに8〜9ヶ月と聞いて、長いと思われる方もいるかもしれませんが、再生療法はもともとあった人体の構造を再生させる治療のため、どうしても時間がかかります。
実際、新しく作られた骨が成熟するには、2〜3年はかかると言われています。
無事に歯を支える組織の再生が確認できたら、治療を行った歯を長く持たせるために、ぜひ歯医者さんの定期健診を受けましょう。
再生治療をしたところは、もともと歯周病が進行していた場所ですので、治療の経過を見守り、再発を防ぐには、定期的な歯科受診が何より大切です。
ちゃんと定期健診に通院した方が治療を受けた歯を30年もたせたと言う報告もあります。

歯周組織再生療法は歯周病が治る魔法の治療法ではありません。
成功の鍵は、歯科医師の技術はもちろんですが、適応のケースを誤らないことや、患者さんのセルフケアの状態や協力度なども重要です。
歯周病治療にご興味のある方は是非一度当院にご相談ください。


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