虫歯が重度に進行してしまうと、抜歯しか方法がないと他院では言われることがあります。
ただし、重度の虫歯の場合でも、歯の神経を治療する「根管治療」をすれば、歯を残せる可能性があります。
また審美性と機能性も回復することができます。
他院で抜歯するしかないと言われた方も、正確な根管治療ができる当院へご相談ください。
患者様の大切な歯を残すための技術と設備が当院にはあります。
歯の神経治療
「根管治療」
重度の虫歯は、神経が死んでいる状態です。
さらに、その神経が詰まった「根管」は虫歯菌に汚染されています。
虫歯をきれいに削っても、虫歯菌を完全に除去せずに被せ物をすると、根管内で細菌が繁殖し、虫歯が再発してしまいます。
根管治療とは、死んだ神経を取り除き、根の中を徹底的に洗浄・消毒し、最後に薬を詰める治療法です。
そうすることで、根管内の細菌の繁殖や、被せ物をした後の虫歯の再発を防ぐことができます。
当院ではマイクロスコープを
使った精密な根管治療を行っています
根管治療で最も大切なことは「精密さ」です。
過剰に歯を削ると歯根破折のリスクを高めますし、不完全な清掃・消毒は虫歯の再発リスクを高めます。
針ほどの細さの根管治療を正確に行うために、当院では視野を20倍以上に拡大できる「マイクロスコープ」を導入します。
また、治療中に唾液や細菌が根管内に侵入するのを防ぐため、治療した歯の外側の歯をゴムシートで覆う「ラバーダム防湿」も導入しています。
ラバーダム防湿
ラバーダム防湿は歯根の治療や虫歯治療の際に、唾液や細菌の侵入を防ぐためのゴム製のカバーです。
薬剤の誤嚥を防ぎ、舌や頬粘膜の傷つきを防止し、水分の侵入を防ぐ役割もあり、根管治療には欠かせないものです。
根管治療の手順
- 1神経の除去・洗浄・滅菌
- リーマー、ファイルなどの器具を使って根管内の死んだ神経を取り除き、汚れを洗浄・消毒します。
完全にきれいにする必要があるため、洗浄・消毒の工程を数回繰り返す必要があります。
- 2薬剤充填
- 根管内を清潔に保つため、薬剤はしっかりと充填します。
- 3被せ物の取り付け
- 型取りを行い、被せ物を加工して取り付けます。
- 4メンテナンス
- 治療後は定期的にメンテナンスにいらしてください。
治療した歯を含め、口腔内の状態を確認します。
根管治療の種類
根管治療には、抜髄治療と感染根管治療の2種類があります。
違いがわかりにくいので、ご説明致します。
抜髄治療
歯髄炎(歯髄=神経)は、歯髄の神経を取り除いた後に生き残った虫歯が成長し、神経に到達することで起こります。
歯髄炎がひどく、熱いものを食べたり、何もしないでいると痛みが出る場合は、炎症を抑えることが難しく、歯髄を除去する処置が必要です。
このプロセスを抜髄といいます。
歯髄炎の場合、歯髄の細胞は生きていて、免疫を持っています。
その結果、歯髄のほとんどには虫歯菌がいません。
この段階で無菌で丁寧な治療を行い、精密な土台と被せ物を設置できれば、長期的に健康的な歯を維持することが可能です。
感染根管治療
虫歯が深くなって歯髄炎を起こし、そのまま放置していると歯髄組織が細菌にやられてしまいます。
神経が死んでいると言われる状態です。
そうなると、歯髄細胞の免疫機能が失われ、根管内に細菌がどんどん繁殖し、細菌でいっぱいになってしまいます。
感染した細菌は根管から歯を支える骨に広がり、「根尖周囲炎」と呼ばれる病気になります。
根尖周囲炎になると、歯ぐきが腫れて歯痛(噛む痛み・自発痛)を起こしたり、骨が溶けて歯が緩み、最終的には抜歯しなければならなくなります。
感染根管治療とは、根管の中の細菌や汚染物を取り除き、根尖周囲炎を抑える治療法です。
抜髄とは異なり、すでに汚染された状態から無菌状態を作り出す必要があるため、治療がかなり難しくなります。
抜髄・感染根管治療の成功率
抜髄治療も感染根管治療も、根管内を殺菌して根尖周囲炎が再発しないようにすることが成功と定義できます。
これらの治療は非常に難しく、抜髄や感染根管治療は、ラバーダム防湿やマイクロスコープを用いて可能な限り精密な治療を行っても、統計的には抜髄治療の成功率は約90%で、感染根管治療の成功率は約70%だと言われています。
保険診療内で行う根管治療では、ラバーダム防湿やマイクロスコープを使用することができないため成功率が著しく低くなるため当院では行っておりません。
また、治療後のメンテナンスも重要です。
根管治療が成功し、精度の高い土台や被せ物ができたとしても、その後のメンテナンスが悪いと、いずれ虫歯が再発したときに根管内に細菌が入り込んでしまいます。
自分で歯を磨くのはもちろん、歯科医院で定期的に検診を受けることが大切です。
一般的な根管治療で
改善しない場合は
外科的歯内療法を行います
外科的歯内療法とは、抜髄治療や感染根管治療などの一般的な根管治療では改善されにくい歯根病変や歯根破折などが生じた場合に、外科的に症状の改善を図る治療法です。
外科手術になるので負担はありますが、通常抜歯を行うケースでも天然歯を残すことが可能になる場合があります。
歯根端切除術
外科的歯内療法の代表的な治療法として歯根端切除術があります。
通常の根管治療では改善されない、歯根端部の病変を除去し、感染歯を取り除く方法です。
麻酔をした後、歯茎を開いて顎の骨を削り、病巣を除去します。
その後、感染した根の先端を切除し、症状を改善します。
歯根端切除術が必要な症例
- ・通常の根管治療では対応できない根管先端に膿が溜まっている場合
- ・根管形状が複雑な場合や、根の湾曲が大きく、正しい治療が困難な場合
- ・根管治療を行う場合、根元の土台が破折する可能性が高い場合
- ・歯の先端が割れている場合
歯根端切除術の手順
- 1病巣の除去
- 治療する患根の形状や病変の大きさを詳しく検査します。
麻酔後、歯ぐきを開き、病巣を丁寧に取り除きます。
- 2歯根尖端を切開
- 感染した根の先端を切開していきます。
周辺組織に残っている細菌感染を除去した後、根管は歯科セメントで封鎖します。
- 3骨が再生されるのを待つ
- 歯ぐきをきれいに縫合して、治療完了です。
切開した骨が再生するまで、定期的にチェックを行います。
約3ヶ月で骨の再生が完了します。
歯根端切除術の成功率
一般的な論文では、歯根端切除術の成功率は70%程度と言われています。
しかし当院では最先端の設備と豊富な症例を武器に、昨年度の歯根端切除術の成功率は90%を超える実績を残しました。
意図的再植術
意図的再植術とは、口の中で歯根端切除術が行えない場合に、歯を抜いて歯根端切除術を行い、歯を元の位置に戻す治療法です。
意図的再植術が必要な場合
- 1一番奥の奥歯、親知らずの治療の場合
- 一番奥の奥歯や親知らずは、口腔内で歯根端切除術を行うことができないため、意図的再植術を検討します。
- 2口が非常に小さく、歯根端切除術が難しい場合
- 口が小さいと口腔内で歯根端切除術が難しくなります。
- 3歯根の先端が神経や血管に近い場合
- 治療する歯根の先端が神経や血管に近い場合、口腔内で歯根端切除術を行うと、これらの重要な組織を損傷する恐れがあるため、意図的再植術を行います。
外科的歯内療法でも改善されない場合は抜歯になることもあります
上記の手術方法でも感染が除去できない場合は、「抜歯」を検討します。
歯根端切除術や意図的再植術の目的は「根の先端に付着した細菌を完全に取り除くこと」です。
そのため、先端だけ除去しても、他の部分に菌が残っていたり、他の原因があったりすると、根本的な解決にはなりません。
歯根破折、重度の歯周病、セメント質剥離などがあると「抜歯」を検討する必要があります。
当院では天然の歯を残すためにありとあらゆる手段を考えますが、どうしても抜歯になってしまった場合は入れ歯やインプラントなどの治療を検討します。
天然の歯を残すために
様々な手段を検討します
当院では通常の根管治療では改善できないケースでも、外科的歯内療法でできるだけ歯を残すように心がけています。
症状やお口の中の状態によって成功率は異なりますが、患者様一人ひとりに合った適切な治療計画をご提案します。
お気軽にご相談ください。